外壁・屋根塗装の見積書のチェックポイント
目次
- 外壁・屋根塗装の見積書の内容を理解することの重要性
- 自分で工事金額の見積もり金額を計算する方法
- - 延べ床面積からおおよその面積を計算する
- - 塗料の費用を計算する
- 塗装業者に工事の見積もりをとる方法
- - 塗装を行う業者の種類
- - 外壁・屋根塗装の見積もりの流れ
- 外壁・屋根塗装の見積書に記載される項目
- 外壁・屋根塗装の見積書で注意するチェックポイント
- - 使用される塗料・メーカーの記載
- - 下地処理では何を行うのか
- - 外壁・屋根の塗装が3回塗り
- 外壁・屋根塗装の見積もり金額に差がでる理由
- - 劣化状況の見極め
- - 足場面積や塗装面積の違い
- - 塗料のグレード
- - 会社の中間マージンや利益率
- まとめ
外壁・屋根塗装の見積書は工程や金額、面積など工事に関わることが細かく記載されているため、きちんと内容を理解することが大切です。
しかし、内容を理解するのには塗装や用語についての知識も必要になるので「どのように見ればいいのかわからない」という方も多くいるかと思います。
このページでは、ご自身で見積もり金額を算出する方法や見積書に記載されている項目、注意すべきチェックポイントなどについて紹介いたします。
外壁・屋根塗装の見積書の内容を理解することの重要性
外壁・屋根塗装の見積書には各工程の作業内容、面積、単価、使用する塗料などが記載されているため、工事の概要を把握して内容を理解することで「見積書の内容は適正なのか」「必要な作業・不要な作業は何か」を判断できるようになります。
また、複数社の見積書を比較することで建物に適した費用相場もわかるようになるので、高額な工事でお客様を騙そうとする悪徳業者を見分ける判断材料にもなります。
自分で工事金額の見積もり金額を計算する方法
悪徳業者の中には、実際よりも大きな面積を出して高額な金額を提示したり、塗料の使用量をごまかして手抜き工事をする業者もいます。
そのため、あらかじめご自身でおおよその面積や金額を知っておくことは大切です。
基本的に各工程の金額は「面積×単価」で算出しているので、それぞれの面積と単価を理解しておくようにしましょう。ここでは外壁を塗装する際にかかる塗料の費用について説明いたします。
延べ床面積からおおよその面積を計算する
延べ床面積とは、各階の床面積を合計した数字になります。
外壁の塗装面積を算出する計算式は次の通りです。係数とは窓などの塗らない部分のことで、延べ床面積が大きいほど小さい数字を掛けたほうが実際の面積に近くなります。
「延べ床面積×係数1.1~1.4」
例えば、延べ床面積100㎡の場合は「100㎡×1.2」となり、塗装面積はおおよそ120㎡になります。また、延べ床面積が坪数でしかわからない時は「坪数×3.31」で㎡の値に変換することができます。
塗料の費用を計算する
塗料にかかる費用を算出する計算式は次の通りです。塗料の単価は使用する塗料によって異なります。
「塗装面積×塗料の単価」
使用する塗料が決まっていない場合は、グレード別の相場からおおまかな費用を出すことが出来ます。
一般的によく使われているシリコン系塗料の価格は、㎡あたり2,300~3,000円が相場となるため、「120㎡×2,300~3,000円」の計算式から塗料にかかる費用は276,000円~360,000円と計算できます。
塗装業者に工事の見積もりをとる方法
塗装を行う業者の種類
塗装を行う業者の種類は主に以下の3つあります。
■工務店
施工:下請け
工務店は地域に密着した業者が多く、塗装以外のリフォーム工事も請け負っています。ただし、塗装専門の職人が少なく下請けが施工することになるので、費用が割高になる可能性が高いです。
■ハウスメーカー
施工:下請け
保証や定期点検などが充実しているため、不具合があっても長期的に対応してくれます。工務店と同様、塗装以外のリフォーム工事も対応可能ですが、下請け施工になるので費用は割高になります。
■塗装職人専門店
施工:自社
塗装専門の自社職人がいるため、技術や知識は豊富である可能性が高いです。下請けに依頼せず自社で請け負うので、中間マージンがかからずに費用も抑えられます。
外壁・屋根塗装の見積もりの流れ
外壁・屋根塗装の見積もりの流れは次の通りです。
1.塗装したい部分と時期を決める
例えば「外壁は何色にしたい」「雨戸も塗装したい」など塗装に関する希望があれば、事前にまとめておくと見積もりがスムーズに進みます。
また、季節や業者によっては、繁忙期などで直ぐに塗装工事を始められない場合があるので、塗装したい時期が決まっている方は事前に伝えておくのが望ましいです。
2.業者を探す
業者を探す方法は、主にインターネットで検索したり、チラシや新聞などの広告を見る方法と一括見積もりサイトを利用して業者を紹介してもらう方法があります。
3.業者を選び、工事の内容を伝え見積もり依頼をする
業者を選んだら電話や申し込みフォームから見積もり依頼をします。この時、塗装したい部分や塗装したい時期、劣化が気になる箇所などを伝えて、実際に現地調査する日程を決めます。
4.現地調査
現地調査では、基本的にお客様立会いのもと建物の規模や劣化状況、周辺の環境などを確認していきます。作業時間は業者によっても異なりますが30分~1時間程度です。図面がある場合は用意しておくとスムーズに調査が行えます。
5.見積もり
現地調査で計測した面積や図面、劣化状況などから見積書を作成します。見積書の提示までにかかる時間は業者によって異なりますが、現地調査から1~2週間程です。
外壁・屋根塗装の見積書に記載される項目
外壁・屋根塗装工事の見積書に記載される項目は、主に次のような内容になります。
項目 | 内容 |
---|---|
仮設工事 | |
足場 | 職人の安全性を確保し、高所でも作業を円滑に進められるように設置します。 |
養生 | 飛散防止ネットで建物を覆い、高圧洗浄の水や塗料が周囲に飛び散らないようにする作業です。また、養生テープやシートなどを使って、塗装をしない部分を塗料が付かないように保護していきます。 |
下地処理 | |
高圧洗浄 | 外壁や屋根などに付着した汚れやコケ、古い塗膜などを綺麗に洗い流す作業です。 |
ケレン | 高圧洗浄で落としきれなかったサビや古い塗膜を除去する作業です。主に鉄部や木部に行われます。 |
シーリング補修 | 外壁の目地部分やサッシ周りのシーリングを補修する作業です。補修方法は打ち替えと打ち増しの2通りあり、劣化状況や業者によって方法は異なります。 |
クラック補修 | 外壁や屋根に発生したひび割れを補修する作業です。シーリング材を充填して平らにならしていきます。 |
屋根塗装 | |
下塗り | 塗装面を整え、中塗り・上塗り塗料の密着性を高める役割があります。下塗り材にはシーラー、プライマー、フィラーなどの種類があります。 |
中塗り・上塗り | 基本的に中塗り・上塗り塗料は同じ塗料を使います。数回塗ることで塗膜に一定の厚みが出て、塗料本来の性能を発揮することができます。業者によっては「上塗り2回」と記載されている場合もありますが、作業内容は同じです。 |
縁切り・タスペーサー | 塗料で屋根材の隙間が埋まらないように、専用のカッターや器具を使って隙間を作る作業です。コロニアルやカラーベストで行われ、雨漏りの発生を防ぐ目的があります。 |
外壁塗装 | |
下塗り | 塗装面を整え、中塗り・上塗り塗料の密着性を高める役割があります。下塗り材にはシーラー、プライマー、フィラーなどの種類があります。 |
中塗り・上塗り | 基本的に中塗り・上塗り塗料は同じ塗料を使います。数回塗ることで塗膜に一定の厚みが出て、塗料本来の性能を発揮することができます。業者によっては「上塗り2回」と記載されている場合もありますが、作業内容は同じです。 |
その他項目 | |
付帯部塗装 | 軒天、破風板、雨樋、雨戸、水切りなど外壁・塗装以外の付帯部塗装を行います。 |
ベランダ防水 | 必要な場合はベランダ床の防水工事も併せて行います。防水工法はFRP防水やウレタン防水が一般的です。 |
諸経費 | 工事で発生した廃材を処分する費用や職人の交通費、塗料や機材を運ぶ運搬費などが含まれます。 |
外壁・屋根塗装の見積書で注意するチェックポイント
外壁・屋根塗装の見積書の内容を確認するときは、次の点を注意してチェックしてみましょう。
使用される塗料・メーカーの記載
適正な見積書であれば、使用する塗料や塗料メーカーの記載がされています。塗料名やメーカーの記載が無い場合は塗料の性能や耐久性も分からず、金額も正しいのか判断できません。
また「シリコン塗料」や「フッ素塗料」などと記載されていることがありますが、これは塗料のグレードであって塗料名ではないので、どこのメーカーのどの商品を使うのかを確認する必要があります。
下地処理では何を行うのか
下地処理とは、高圧洗浄やケレン、クラック補修などの塗装面を塗装が出来る状態に整える作業です。「下地調整」「素地調整」などと記載されている場合もあります。
悪徳業者の中には、必要な下地処理を行わずに手抜き工事をする業者もいるので要注意です。下地処理を怠ると塗装しても直ぐに剥がれたり、ひび割れが発生するなどの施工不良に繋がります。
外壁・屋根の塗装が3回塗り
塗料や工法によっても異なりますが、基本的に塗料の塗り回数は下塗り・中塗り・上塗りの3回になります。
業者から説明がなく、塗料メーカーのサイトやカタログなどに2回塗りを推奨する記載もない場合は、必要な回数を塗らずに人件費や材料費を浮かせて利益にしようとしている可能性も考えられるので注意が必要です。
外壁・屋根塗装の見積もり金額に差がでる理由
複数社に外壁・屋根塗装の見積もりを依頼した場合、見積もり金額が同じになる可能性はほとんどありません。業者によって金額に差が出る理由は次のようなことが挙げられます。
劣化状況の見極め
業者の知識や熟練度によって、劣化状況の見極めや必要となる工事内容の判断が変わってくるため、金額にも差がでてしまいます。
足場面積や塗装面積の違い
足場面積や塗装面積など工事に関わる面積は、図面や実際に測定した数値をもとに算出されます。同じ建物でも業者によって数値に差が出るので、各工程の金額も大きく変わってきます。
複数社の面積を比較して大幅な差がなければ特別気にすることはありませんが、あまりにも他の見積書と比べて数値が大きい場合は、実際の面積よりも大きくして高額な費用を請求しようとしている可能性があるので注意が必要です。
塗料のグレード
塗料は耐久年数の違いによってグレード別に分かれています。そのため、耐久年数が短い塗料は金額が安く、反対に耐久年数が長い塗料は金額が高くなります。
耐久性:ウレタン樹脂塗料<シリコン樹脂塗料<フッ素樹脂塗料
また、同じグレードでも業者がオススメしている塗料やお客様に提供している金額は、それぞれ業者によって異なります。
会社の中間マージンや利益率
ハウスメーカーや工務店のように下請けが施工する会社の場合、手数料として中間マージンが発生します。また適正な見積もりだとしても、業者側も利益を出す必要があるため、利益を多く出そうとすると見積もり金額も高くなります。
中間マージンや利益率については見積書に細かく記載されているものでは無いので、お客様自身で判断するのは難しいです。
まとめ
見積書ひとつで作業内容や金額、使用する塗料などを把握することができ、悪徳業者を見極める判断材料にもなるので、見積書の見方を理解しておくことはとても重要です。
また、業者に見積もりを依頼する際は、ご自身でもある程度の面積や注意するチェックポイントを確認しておくことで、手抜き工事や高額な見積書を提示する業者に騙されずに、納得のいく業者選びや塗装工事が出来るでしょう。
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